「美しい距離」と愛の表し方
- charlottegoff
- Nov 22, 2021
- 3 min read
Updated: Nov 23, 2021

好きなテレビ番組の中で「クィア・アイ」というのがある。クィア・アイでは、「ファブ5」と言われる5人のゲイの人たちはもともとシャイや、自信を失った人に出会い、その人を色々な面で変身させる。
私がいつも良いと思っているのは、その変化はファブ5が求めているものではなく、各エピソードの主人公みたいな人が欲しがっている変化だということだ。その人自身は変わりたいって思っているけど、そうする自信・時間・お金などなどがないため、ファブ5に助けを求める。それで、ファブ5はそれぞれの得意分野(ファション・家のリフォーム・セルフケア・料理・ヘアスタイル)を生かして、応援する。とてもおもしろく、心から感動できるシリーズだ。

2年前、ファブ5は日本に行き、「クィア・アイ in Japan!」を撮影した。日本版も良かったけど、いくつか気になったところがあった。
あるエピソードでは、母親と娘がいる。娘の方は学校でいじめられたこともあり、自分に自信を持っていない女性だ。ファブ5は娘の「かえ」を励ますし、かえのお母さんにアドバイスをする。アントニーはお母さんの方に尋ねる:
「あなたが最後に娘に「I love you」と言ったのはいつだった?」
そして日本に「I love you」と言ったり、ハグをしたりする文化がないとお母さんはアントニーに伝えると、アントニーはこんな風に答える:
‘Everyone needs to be told that they’re loved.’ 誰にでも「I love you」と言われる必要がある。
本当にそうなのかな?
イギリスやアメリカでは 「I love you」など、愛を表す表現をよく使うのは確かなことだ。いわゆる「肯定的な言葉」(words of affirmation)を使うことが大事にされていて、恋人や家族に対して毎日言う人がたくさんいる。しかし、そうしないとダメというのは違うと思う。「I love you」と言うこと以外にも、愛を表す方法がたくさんある。
*
この間、作家・山崎ナオコーラの「美しい距離」という、素敵な小説を読んだ。
「美しい距離」では、サラリーマンの主人公は末期がんと診断された妻を看護するために、ほぼ毎日病院に通う。お見舞いに行くだけのではなく、夫は妻の爪を切ったり、顔に保湿クリームを塗ったり、髪の毛を梳かしたりして、仕事をしながら一生懸命妻のケア―に取り組む。
「大好き」や「愛している」と声を出して言うことはほぼない(一度だけ)けど、夫の妻への愛情は明らかなものだ。言わなくても、やっていることから分かる。
細い右手を取る。ぷちんぷちんと白い部分に刃を入れていく。三日月形がビニールテープのべたべたした面にくっ付いていく。ぷちんぷちんという音に夢中になる。ぎょっとするほど楽しい。この愉悦はなんだろう。好きな人の爪を切るというのは、こんなにも面白いことだったのか。
現代では流行っている「love language・愛の言語」のカテゴリーで考えると、彼の愛の言語は肯定的な言葉じゃなくて、サービス行為なのかもしれない。
*
こういうことを考えたら、日本に住んでいた時の会話も思い出した。
ある日、同僚にいらをついていた。私はお酒が好きな人で、同僚はお酒をまったく飲まない人だった。その同僚に何気なく飲み会の話をしたら、数時間後彼からメールが来た。「参考のため」みたいなタイトルが付き、中にお酒が体にどんな悪影響を与えるかについての科学的論文が添付されていた。
天邪鬼の私はその夜、日本に来てくれていた両親と一緒に居酒屋に行き、ビールでその同僚に乾杯をした。
しかしその話をまた別の同僚にしたら、こう言われた:
「愛の言葉って、「愛している」だけじゃないよ。時には「元気?」や、「気を付けて」も愛の表現だよ」
お酒について注意をした同僚は彼なりに、優しくしてくれていたのかもしれない...!
*
また長いブログになってしまった...
まあ、つまり、愛の表し方はいっぱいあり、人それぞれ!
この記事にはすごく考えさせられました。日本では夫婦や恋人同士だけではなく、たとえば親子であっても「大好きだよ」とかあまり言わないと思います。そのかわりお母さんが一生懸命可愛いお弁当作ったりするのかなって思いました。
「日本的(にほんてき)な美徳(びとく)/美意識(びいしき)」の中(なか)には、「はっきりと言葉(ことば)にしないこと」というのが多分(たぶん)、あるね!
それはたとえば、こんなような言葉で表現(ひょうげん)されていたりする。
「言わぬが花(いわぬ・が・はな)」
こんな逸話(いつわ)もあります。
いまから100年ちょっと前の文豪(ぶんごう)で、日本で一番(いちばん)有名(ゆうめいな)な作家(さっか)の一人、夏目漱石(なつめ・そうせき)という人が、学生(がくせい)に英語(えいご)を教(おし)えていたときのこと。かれは、英語の“I love you”を日本語に翻訳(ほんやく)したんだけど、その言葉はなんと「月がきれいですね」。
!!!
これも、ストレートな愛(あい)の言葉である“I love you”を、「はっきりと言葉にしない」で、愛情(あいじょう)表現(ひょうげん)にしたものだね。
このエピソードは、source/出典(しゅってん)がはっきりしないから、ある種(しゅ)の噂話(うわさばなし)や伝説(でんせつ)くらいのものなんだけど、この話をきいて「あー、わかるかも」「なんだか素敵(すてき)!」という日本人は、まだ結構(けっこう)いると思(おも)う。それくらい、「日本っぽい感覚(かんかく)」なのかもしれないね。このブログを読んでいるみんなは、この感覚をどう思う?知(し)りたいです!
例(れい)に挙(あ)げたものは、どれも現代(げんだい)よりも古い時代(じだい)のものだから、正直(しょうじき)、ぼくたちの世代(せだい)では、“Global standard”な「ちゃんと言葉にしないと人に伝(つた)わらない」ということの方が、大事(だいじ)にされていると思うけどね!
I think the Japanese expression sounds a bit far fetched, but it's true Genki? is the Japanese way of expressing love!!🌷
いいなー! 愛の言語めっちゃ面白いと思う。とくに、表し方と人の受けたい方が合わない時は難しいだな。私にとって、お酒の注意は優しいのは優しいけど、そんな表し方を受けたくないなー 笑